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Mission

 

ヒトの体は、約37兆個の細胞から構成されています。つきつめると、私たちの日々の活動は個々の細胞の活動といえます。しかし、個々の細胞は好き勝手に活動しているわけではありません。体全体が正しく機能できるように、全ての細胞が調和を保って活動しています。調和を保つために重要な役割を果たすのが、細胞間の情報伝達です。例えば、私たちの体液には多くの種類の増殖因子やホルモンが含まれており、細胞の増殖や機能をコントロールしています。このような内分泌系や、神経系・免疫系などの細胞間情報伝達の信号を細胞が受け取ると、それに応じた形で細胞内シグナルが伝達されます。このシグナルが細胞内の多種多様な分子装置に指令をくだし、細胞の活動を適切に調節しています。

 

私たちは、動物細胞の様々な活動を制御する増殖因子の細胞内シグナルに着目し、その分子機構を研究しています。増殖因子シグナルは、多種多様なタンパク質の連携プレーによって伝達されます。例えば、このプロセスに“ユビキチン”という小さなタンパク質がいろいろな形で関わることが、私たちの研究からわかってきました。ユビキチンは、ほとんどの種類の細胞内タンパク質(標的タンパク質)に共有結合できます。こうしたユビキチンの結合が目印となり、標的タンパク質の量や性質(活性・他のタンパク質との複合体形成・細胞内局在など)が変化します。こうした変化によって増殖因子シグナルが調節されることが明らかになっています。

 

明らかになった分子機構をよく見ると、様々な外的環境の変化に適応できる柔軟さと、少々の内部システムの異常には動じない頑強さを兼ね備えていることがわかります。また、ヒトの細胞がどのように進化してきたのかを垣間見ることもできます。新しい発見がもたらす驚き・興奮・面白さは他では味わうことのできないものです。こうした研究は基礎研究に位置付けられ、必ずしもすぐに社会の役に立つものではありません。しかし、その成果には “人類全体に共有されるサイエンス”として普遍的な価値があります。若い学生たちといっしょに目の前の発見を楽しみ、サイエンスという文化の発展に貢献する達成感を共有できればと願っています。

 

駒田 雅之


増殖因子シグナルやその受け手の分子装置の異常は、様々な病気の原因になります。私たちは、こうした異常を分子レベルで理解する研究も行っています。そして、その成果を病気の治療法の開発に結びつけたいと考えています。例えばクッシング病という難病がありますが、私たちは、あるタンパク質の遺伝子変異がこの病気をひき起こすことを発見しました。通常、このタンパク質は増殖因子シグナルの制御に関わります。詳しく調べると、クッシング病では遺伝子変異によってこのタンパク質の働きが変化していることがわかりました。そして、この変化が病気の発症に結びつくメカニズムが明らかになりつつあります。さらに、明らかにしたメカニズムに基づいて世界初の治療薬を開発するための研究もスタートしています。基礎研究の成果を病気で苦しむ人々に還元できるよう、使命感をもって取り組んでいます。

大学院生 大募集!

 

駒田研究室では、培養細胞を用いた細胞生物学的なアプローチを中心に、幅広い手法で研究を進めています。シグナルの素過程を試験管内で調べるナノレベルの解析や、遺伝子改変マウスなどを用いた個体レベルの解析も行っています。そして、

ヒト細胞の機能に関する

(1)基礎研究

(2)創薬を見据えた研究

に興味をもつ修士課程・博士課程の学生さんを広く募集しています。研究活動を通じて、学生さんたちが科学的な発想力や問題解決能力を身につけてられるよう、教育にも力を入れています。最近の卒業生・修了生の進路としては、アカデミアの研究職(国内外の研究所や大学)、民間企業(製薬・バイオ・化粧品・通信など)などが挙げられます。

 

学生さんの窓口は、研究室助教の福嶋が担当しています。詳しい話を聞きたい方や研究室を見学したい方は、いつでも遠慮なく福嶋 (tofu [at] bio.titech.ac.jp) にご連絡ください。大学院入試は、生命理工学院の入試を受験してください。詳細については、生命理工学院の入学案内をご覧ください。